最高裁判所第三小法廷 昭和60年(オ)243号 判決 1985年7月02日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の上告理由について
手形債権の一部が指名債権譲渡の方法により譲渡されたときであつても、これによつて権利の分属的帰属の生ずることは手形法一二条二項所定の一部裏書の場合と異なるものではないから、右譲渡については同項を類推適用し、これを無効と解するのが相当であり、この理は、譲渡人と譲受人とが同一の占有代理人によつて当該手形を占有していても異なるものではない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、独自の見解であつて、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 木戸口久治 裁判官 伊藤正己 裁判官 安岡滿彦 裁判官 長島 敦)